家族信託?①
信託銀行で10年間働いていましたが、「信託」ってふと説明するのは難しい。
書籍には「誰かに」「信じて託す」と書いてあることが多いです。
投資信託
お金の運用を(運用会社に)託す。
世に何千とある投資信託商品は、それぞれ投資先も、想定されるリスクも様々。
国内の大手企業の社債を(運用会社が)ピックアップして投資する投資信託もあれば、
ブラジル国内にある企業の株を(運用会社が)ピックアップして投資するものも。
貸付信託
お金を(信託銀行に)託す。
その昔、「ビッグ」「ヒット」といった商品がありました。
元本保証で金利が高いというイメージをお持ちの方も多いです。
遺言信託
これは、信託法で定められた制度ではないのですが、遺言を信託銀行に預けておいて、
自分が亡くなったら遺言通りに手続きをお願い!
という趣旨のものです。
家族信託
正式には「民事信託」と言います。
これまで上記に書き並べたものが、信託銀行や運用会社などの組織に託すのに対し、
家族信託は「信じる家族(もしくは、知り合い)」に託すもの。
「(娘に)私の財産のうち、現金1000万円と、貸アパートを信託するので管理してちょうだい」
「(息子に)私の財産のうち、自宅を信託して、いざとなったら自宅は売って現金化して、老人ホームに入れてちょうだい」
など、ご家庭の事情に合わせて自由に決められる制度。
よく比較に上げられる成年後見制度は、「成年後見人」と呼ばれる、家庭裁判所から選ばれた弁護士や司法書士から
「全財産を管理されてしまう」のに対し、
家族信託は資産のうち、託したいものだけを、託したい人に信託します。
〈よくある家族信託のケース〉
・私が認知症になってもお金の管理をよろしく
・アパートの修繕や、入居者が変わるときの手続きをよろしく
・家族と一緒に住んでいる自宅が建替えの時期になったら建替えて
・老人ホームに入るときに家を売って、その代金で入所したい
・経営している会社の従業員たちが困らないようにしておきたい
・自分が亡くなったら、葬儀費用を支払って、永代供養の手続きをよろしく
・自分が亡くなったら、遺されたペットが穏やかに生活できるように手配して
などなど、それぞれのご家庭の事情でいかようにでも契約の内容を決めておけます。
これに対して成年後見制度は、本人にとって最低限のことしかできません。
建替え、大規模修繕、売却は、ご家族にとっては利益のあることかもしれませんが、
「本人」にとって本当に必要か?と家庭裁判所に判断をゆだねなければならない事項も法律で決まっています。
弊所では、家族信託のご相談、お手続きを承っています。お気軽にどうぞ!